手先が不器用でも音楽会のステージに立った我が子の鍵盤ハーモニカ克服法の紹介。

私は現在中1、小5の兄弟の育児をしています。

長男がADHDです。小学校低学年の頃は指先の運動機能が未熟で、鍵盤ハーモニカやリコーダーの演奏はとても苦手でした。音楽自体は好きで歌などは家で唄ったりしますが、小学校の音楽は大嫌いでした。

小学3年生の音楽会では鍵盤ハーモニカやリコーダーが演奏できず、ステージに立つ事すらできませんでした。しかし小4の音楽会では様々な工夫で鍵盤ハーモニカの練習をし、全て吹けるようになって、ステージに立つ事ができました!!

今回はそんな長男の鍵盤ハーモニカ克服方法を紹介します。

楽譜をカタカナだけの楽譜に書き換える。

何とも斬新な楽譜なのですが、このようにすることで、音符が読めなくても、どの音を鳴らせばいいのかすぐに分かります。音符も小さく見づらいのでカタカナに直す時は大きめに書きました。

高い音と低い音の区別をつけるために高い音には・をつける

カタカナだけの楽譜は音の上がり下がりが分かりません。同じドでも低いドなのか高いドなのか区別をつけるために高い音には・を目印に付けることで高い音で吹く事が分かるようにしました。

黒鍵の音は〇で囲み、白鍵の音と区別しました。

楽譜と違いカタカナのみの楽譜では黒鍵を弾くのか白鍵を弾くのか分からない為、黒鍵を弾く音には〇で目印を書きました。

鍵盤ハーモニカ以外のパートの表示がないので、言葉で書きました。

カタカナのみの楽譜では自分のパートしか記入できません。それでは自分が休みのタイミングが分かりません。そこで自分のパート以外の時には何の楽器が演奏されているのか分かるように、木琴・5小節休み。アコーディオン・4小節休み。など文字にして全体の流れを掴めるようにしました。

繰り返しのフレーズは×を使って表現しました。

同じフレーズを繰り返す場合は(ド レ ミ ファ)×3

という感じで繰り返すフレーズを()で囲み、何回繰り返すのか分かるようにしました。

弾きにくい部分は運指の番号を書きました。

リズムが早くて弾きにくいフレーズは、一番弾き易い弾き方を本人と確認しました。どの音を何番の指で弾けば弾けるのか確認して音の上に弾く指の番号を書き込みました。

縦吹きが出来なかったのでホースを使いました。

このテキーラという曲を演奏したのが小学校4年生でした。音楽会では当然、鍵盤ハーモニカの子どもたちは縦吹きです。しかし長男は運動機能が未熟なために縦吹きが出来ませんでした。そこで低学年の時の様にホースを使ったのですが、4年生ともなると体が大きくなりホースの長さが足りずホースでも演奏できない事態になってしまいました。

当時の長男は自己肯定感が低く自分に少しも自信がありませんでした。なので私も周りの先生方も長男が皆と同じステージに立てれば自信がつくのではないかと考えていました。

こんなことで諦めたくありませんでした。長男もそれは同じだったと思います。

当時の長男の音楽会目標です。

そこでホースをもう1つ購入し、2本のホースを連結させ、首の後ろにホースを回し、快適に演奏出来るように整えてあげました。

個人でも全体練習の様に練習ができる様にCDを作ってもらいました。

長男は当時、集団行動が出来なかったので、個人練習は上記のような工夫で何とか出来たのですが、全体練習が出来ませんでした。

なので実際に鍵盤ハーモニカ以外のパートのメロディーがどんなものなのかが分かりませんでした。またどの楽器のどのメロディーが終わったら自分のパートに入るのかのタイミングも分かりませんでした。

そこで先生に全体練習の通しの風景を携帯に撮って頂き、それに合わせて練習すればどうかと相談したところ、個人でも全体練習の様な練習が出来る様にとCDを作ってくれました。

しかも練習速度が変えられる様にゆっくり演奏バージョンから本番の速さまで練習できる様に5パターンもの速度の曲を入れてくれました。

家ではこのCDに合わせて、自分のパートと他の楽器のパートの出番を確認しながら練習しました。

練習の結果

親子で大変な音楽会でしたが、周りの関わって頂けた先生のご協力によって無事に楽譜を見れば全て通して演奏出来る様になっていました。本番は何と暗譜が出来て楽譜を見る事なくステージで演奏する事が出来ました。

家での母との練習では、少し違うところを指摘するだけでイライラし、鍵盤ハーモニカを投げたりして練習が思う様に進まない日ばかりでした。でもイライラした後からクールダウンをして「もう1回やろう!!」と長男の方から頑張る姿も沢山見られました。

諦めずに頑張れば自分だって皆と同じ事が出来るんだという大きな自信に繋がる貴重な体験でした。また、みんなと同じステージに立って見た景色は格別だったと思います。

長男は今でもこの時のブルーレイをたまに観ていますので本人の中でも特別な経験だったのだと思います。あの時の達成感を何度も味わいたいのかもしれません。またそれが今の長男の自信に繋がっていると思います。

ステージに立つまで様々なドラマがあり、練習は大変でしたが一緒に頑張って良かったな。と思います。

鍵盤ハーモニカが苦手で音楽の授業や音楽会が嫌いな子供をお持ちの親御さんへ。是非一緒に簡単ではありませんが、とことん諦めずにお子さんと一緒に練習してみませんか。成功した後の景色は子供にとって、それまでとは変わっているはずですよ。