私は現在、中1、小5の兄弟の育児をしています。
長男がADHDです。
長男が小2の11月から服薬を開始しました。親なら我が子への服薬は悩んで当然のことです。
今回は私達親子が、服薬しない選択肢もあった中で、どんな経緯で服薬に至ったのか。服薬してどう変わったのか。
そして未来は明るかったのか。をお話しします。
服薬に至った経緯
服薬前の長男の状態
家庭:大きな問題なく生活できていた。弟と喧嘩になった時の暴力が心配な程度。
学校:自己肯定感が激しく低下するエピソードが多数。
- 聴覚過敏もあり、教室には入れず特別支援学級で1日を過ごす。たまに原級での体育に参加。
- 特別支援学級でもテストは受けられない。国語のドリルも書字が苦手で取り組めない。
- 学習は集中力が続かなかったりイライラしたりで思うようには進んでいない。
- 特別支援の仲間とのトラブルや、休み時間中の学校の児童とのトラブルが頻回にある。
- イライラすると、物に当たりガラスを割る。(小学校時代で4回)
- 同じく学校の掲示物を破く…など。
- 学校の勧めで発達相談センターに親子で月1回のペースで通う。主にプレイセラピーが目的。
医師による発達相談を受ける
上記の通り発達相談センターに親子で通っていました。そこで医師による発達相談があるので相談してみたらどうかと発達相談センターの担当の方に勧められたので迷わず相談をしました。
その医師は長男とは初対面でしたが、長男の特性を瞬時に把握、現在の学校での状態も視えていて二次障害(もともとの特性により、いじめや叱責経験などが加わり二次的にうつや引きこもりなどの自己肯定感の低下する障害が起こる事)の危険や、すでに二次障害が起きていることを教えてくれました。私は医師が瞬時に長男の特性を把握されて驚いたのと同時に早くもこの先生の信者になってしまいました。
医師:「私は発達障害のある子供たち全員に薬を処方しているわけではありません。殆どの子供には薬は出さない。でも今の状態を見るとなるべく早く薬を飲んだ方がいいよ。」
そう言われたのをはっきり覚えています。この時はまだ医療との繋がりはなく、長男がADHDと言う診断はされていませんでした。
この時は発達相談センターに医師が来て「発達相談」という形での相談でしたので、その場で診断される事はありませんでした。でも私は薬を飲んだ方がいいと言われたことで、
ああ、やっぱり長男は発達障害なんだ…。と悟りました。
それでも初めて発達外来を受診した時に、いきなり診断されるよりはいいクッションができたな!!相談してよかった。そう思えました。
受診する病院を探す
「なるべく早めに薬を飲ませた方がいい。」そう言われた私はとにかく受診して、もっと長男を診て貰おう。服薬はその後でもいい。そう思って受診予約しました。
特別支援学級の先輩ママの話を聞くと、医師が話を全然聞いてくれなかったり、ひどい態度を取られた話も聞いていたので医師選びはとても重要だと感じていました。
発達外来は混んでいてどこの病院も早くて3か月。平均6か月待ちでした。どうせ待つならこの前相談した医師に診てもらおうと思いました。初対面だった私が心を掴まれ、信頼できる医師だったからです。そして何とか希望した医師に受診する事ができました。
初診
診察は簡単な質問に長男が答える形式がありました。詳しくは母親は診察室を出て居たので分かりませんでしたが案の定服薬を勧められました。
理由としては
- 落ち着けないので、学校での学習が進みにくい。
- 叱責経験により自己肯定感が低下している。
- 怒り易い特性の為、友達関係の形成ができない。
- 服薬により成功体験を積んで自己肯定感を上げていく。
「〇〇君はスポーツカーなんだよ。高速道路を走るのは得意だけど、一般道を走るのにはコツがいるんだよね。」
「一般道をうまく走るお手伝いを薬がしてくれるんだよ。」
「取り敢えず出すから飲んでみなよ。嫌なら止めればいいんだし。」
と医師は仰っていました。
長男もよ~く話をきいていました。
帰宅し長男と相談
薬に関してはやはり親として抵抗がありました。薬は毒にも薬にもなる。大事な我が子にもし取り返しのつかない副作用が出てしまったら・・・。そこが一番の心配でした。
それでも、長男は話せば解る子でしたし、様々な岐路に立った時は長男にいつも考えさせ自分で決めさせていました。私は助言するだけです。この時は
「薬を飲んでも、飲まなくてもお母さんはどっちでも応援する。1度飲んでみてから続けるか止めるか決めてみてもいいんじゃない?」とだけ話しました。
服薬に対する親のこだわり
服薬するにあたり、どうしても譲れない事が2つありました。
- 本人が納得して飲む事。
- 周りの大人都合での服薬にはならない事。学校の先生が長男を扱いやすくするための服薬なんて絶対無理!と思っていました。
親の戸惑い
服薬にあたりどうしても拭えない戸惑いがありました。
服薬によって100%の長男ではなくなる。嘘の長男になってしまうのではないか。薬を飲んで出来る様になることが増えても、100%の長男の力ではないのではないか。それで出来る事が増えたとして素直に喜べるのか。と感じてしまうことでした。
そんな私に当時の特別支援学級の担任の先生は
「本来力が無いなら、薬を飲んだって出来なかった事が出来る様にはならない。薬で本当の〇〇君の力が出るんじゃないか。そうは考えられないか。私は今まで通り〇〇君の良いところをいっぱい見て褒めていきたいと思います。」
そう言われました。今なら、本当にその通りだなと思えるのですが、当時の私は到底そうは思えませんでした。親の私を励まして下さっているのだな位にしか受け止められませんでした。一番近くで長男のサポートをしていましたが、うまくいかない事ばかり続き前向きには受け止められなかったんだと思います。
結論
長男と話し夫とも話し合い、1回は薬を飲んでみると自分で決めた長男。様々な心配や戸惑いはありましたが、やはり今のままでは良いことがない。自己肯定感が下がり続けるだけ。不登校、引きこもり、自殺などの二次障害が心配。どん底から希望をもっての服薬スタートになりました。
服薬で変わったこと
初めての服薬後
帰宅後の長男は心配をよそに、意外とケロッとしていました。学校では給食前に頭痛と吐き気があったようでした。
その日の夕食の時間に私からは何も言わなかったのですが
「ママ、俺薬続けられそう。給食の前に吐き気と頭痛がするけど、薬を飲んだら頭がスッキリしてたから。」
と言いました。頭がスッキリするというのは本人でなければ分かりませんが、注意力が散漫だったのが様々なことに集中出来る様になったのではないかと感じました。
学校での変化
- 笑顔が増える。友達を遊びに誘ったり出来る様になりトラブルも減った。
- 書字が苦手だったが漢字ドリルを授業中に取り組めるようになる。
- 落ち着いて学習に取り組める時間が増えた。
- イライラして教室を出て行く事が減った。
- 薬の影響で食欲が低下し、給食を食べる量が減った。
まとめ
我が家の場合は服薬を選択しました。中1になった今でも服薬は続けています。本人も薬は大事だと実感しているので、忘れず毎朝飲んでから学校に行っています。
教員免許を持った友人や、保育士の友人に長男の服薬のことを初めて話した時は子供に薬なんてといった反応をされてとてもショックでした。子供の関わる職業の方でもそう感じるのだなと思いました。
しかしそれは一人一人の意見です。様々な意見があって当然ですよね。服薬させたくないと思ってフリースクールなども考えましたが、本人は今の学校がいいとずっと言っていましたので、それなら今の学校で困りごとが少なくなるようにサポートするしかないなと思いました。服薬はその一つです。
何より本人が効果を実感し納得して服薬を続けてきた事が、今同じように子供に服薬させるべきなのか悩んでいる親御さんへの答えなのではないでしょうか。
小2の11月から服薬を開始して今に至るまで4年以上あります。その中で出来る様になった事はたくさんありますが、薬はあくまでサポートするものであり、本人の努力がとても大きかったと思います。薬によって成功体験が増え自己肯定感も上がり、何事にも努力出来る様になりました。
今は中学でも原級で過ごしています。落ち着いて学習をして、友達関係も良好に築けて、部活にも入りそれなりに楽しんでいるようです。服薬が無ければ今の状態にはなっていなかったと思います。
我が家の場合は服薬によって当時からみた未来は明るいものになりました!!